「大学の世界展開力強化事業」は、我が国にとって戦略的に重要な国・地域の大学と、連携・学生交流を進め、世界で活躍できる優秀なグローバル人材を育成し、我が国の大学教育のグローバル展開力を強化する事業です。国際的に通用する質の高い教育プログラムを構築するとともに、日本人学生の海外派遣、外国人学生の受入を戦略的に推進する教育交流プログラムの開発・実施を行う大学に対して重点的に財政支援を実施します。
現在の高等教育を取巻く国際情勢は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行による学生や研究者の国際的な移動が制限されたことに伴い、留学生市場はリセットされ、留学生獲得競争が激化するとともに留学生の多様化の模索が続いています。このような背景から、空間と時間の制約を取り払う、オンライン教育の世界的な動きが一気に高まりました。諸外国において国際交流支援が拡大され、海外の一部の大学等ではオンライン教育の充実・高度化により優秀な学生の獲得競争をリードしていこうという動きが見られる中、我が国にもポストコロナ期を見据えた戦略的な対応が求められています。また、緊迫する世界情勢と、変化の激しさが増す予測困難な時代の中、自ら主体的に考え、責任ある行動をとり、果敢に挑戦し続ける個人を育むことが、高等教育機関の果たす役割として一層求められています。
民主主義や人権、法の支配といった基本的な価値観を共有し、経済安全保障上も我が国にとって重要なパートナーであり、国際競争力の土台となる研究力の高い国でもある、英国・インド・オーストラリアを制定しています。
2020年のEU離脱に伴いエラスムス計画から離脱後、国境を越えた学生の学びの重要性を踏まえ、2021年度から英国人学生の海外派遣支援事業「TURING SCHEME」を開始しており、本事業との相乗効果が期待されます。
今後も急激な経済成長が見込まれるインドは、わが国にとって地政学的にも重要な国であり、2度の本事業(平成26、29年度)の交流実績を、人的・分野的にもその交流規模をさらに拡大させる継続した支援が重要です。
2014年からオーストラリア人学生に対しインド太平洋地域への留学やインターンシップ機会を提供する「NEW COLOMBO PLAN」を実施しており、本事業との相乗効果が期待されます。
こうした背景から、令和4年度予算においては、日本と英国、インド、オーストラリアとの間で、2国間以上の質の保証を伴った教育研究プログラムを実施する事業に対して、重点的に財政支援を行います。同3国を中心とする友好国との地域や高等学校といった草の根段階からの強固な関係性を構築しつつ、中長期的なインド太平洋地域を中心とする太いパイプの基での大学・学生間交流の促進と戦略的国際ネットワーク・パートナーシップの構築・強化を目指します。